人は生まれてからいきなり文章をすらすら読めるわけではなく、いくつかの段階を経て文字を読む力が成熟していきます。短文が難しければ単語から、単語が難しければ一文字から、といった具合に子どもさんの状況に応じて変えていくことが大事であると思います。
ちなみに、「難しい」のニュアンスは、楽に正しく読むことが「難しい」という意味です。また、「楽に(努力感が伴わずに)」読むためには、まずはひらがなを正しく読めるようになることが大切です。
ひらがな一文字を正しく読めるようになることで、ひらがなの単語を正しく読むことにもつながります。ひらがなの単語は、ひらがな一文字を組み合わせてできたものです。そして正しく読めるからこそ、その単語の意味を取れるのです。なので、まずは一文字を正しく読めるようになることが大事なのではないかなと思うわけです。
単語の意味を取れるということについては、その単語の意味をあらかじめ知っていることも重要だと思います。単語を読めてもその単語の意味がわからなければ読むという行為が向かう先の読解につながらないですよね。なので、言葉の意味を知っている、別の言い方をすれば語彙の力をもっていることも、単語や短文、それ以上に長い文を読むために必要な力なんですよね。
では、語彙の力を身に付けるにはドリルなどでゴリゴリやっていくのかというと、必ずしもそういうわけではないです。もちろん、小学校以降では子どもさんのニーズや状態に応じて単語の意味や単語にまつわるイラストが描いてあるプリントやカードを使った課題や、その単語を使って例文を作ることなどが必要であると考えますが、小学校に入る前の子どもさんに対しては課題チックなことはしなくていいのではないかと思っています。では何をしたら良いかと言いますと、絵本の読み聞かせです。
絵本には生活の中で触れることの少ない語彙が入っています。また、絵が手がかりとなり、言葉の意味やその言葉の使われ方についても、絵やセリフをたよりに学ぶこともできます。「ただ聞くだけじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、子どもは好きなものであれば自然と覚えるものです。子どもが好きな絵本を用いることで、子どもはその絵本の世界にどっぷり浸かり、絵本の中で出会う言葉に触れ、それらが子どもの中に蓄積されていくでしょう。
最後に私がおすすめする絵本をいくつか紹介します。
ここらへんまでは、セリフが少ないものを選びました。年少さん以上にとっては物足りないかもしれませんが、絵本への“入り口”としてとてもいい絵本だと思います。他にもたくさんありますが、今思い付くものをとりあえず貼り付けてみました。
※CD付きしか貼れませんでした。
Amazonの商品を載せてますが、本当は子どもさんと一緒に本屋や図書館に行って、子どもさんが実際に手にとってみた絵本がいいと思います。お父さんお母さん一緒に行って選んだ絵本は子どもさんにとってはとても大切なものになるでしょう。
最後のからすのパンやさんは私がいちばん好きな絵本です。結構セリフが多いので絵本への取っ掛かりとしてはハードルが高いかもしれませんが、絵本が好きな子にもあんまりな子にも読み聞かせをしたい絵本ですね。おいしそうなパンがたくさん出てきてお腹が空いてきますし、「ぼくだったら、わたしだったら、どんなパンがいいかな」と想像を巡らせることも楽しいですよ。