何者かになりたかった。せめて何か得意なものを身に付けたかった。
でもそれをする気にもなれない。今はとにかくこの仕事から逃げたい。なんで自分はこんなにも仕事に囚われているのだろうか。全ての評価軸を仕事に置いている気がする。肯定も否定も全て仕事に紐づけてしまっている。おまけに他者からの賛否を一番の軸にしている。仕事は他者からの評価で決まると思うのだが、そこに己の全てを預けてしまっているというか、仕事がダメなら人生終わり、仕事で失敗したら人生も失敗したも同然と考えてしまっている。だから、他者からの時には小さな褒め言葉で有頂天になり、かと思えばちょっとしたことを指摘されただけで奈落の底に突き落とされた気分になり、指摘した相手に凄まじい憎悪を抱いてしまう。
これはもう完全なる病気であろう。これを病気と呼ばないなら人は他に何と名付けるのだろうか。しかもこれはなかなか厄介な病気であり、治る気がしない。一生これを引きずっていくのだと思う。
どうしてかこんな病気に罹ってしまったのだろうか。いや、罹りにいったとでも言うべきだろうか。
誰かこの病気に対する治療法を私に授けてくれやしないだろうか。