“コミュニケーションが苦手”とする理由の一つに、相手が言った内容の意図を正しく読み取りにくいことが挙げられると考えます。
よく聞く例として、今の時代ではあまりないと思いますが、例えば、ある家でお風呂のお湯を溜めていて、もう少しで溢れそうな状況として、お母さんが子どもに対して「お風呂見てきて」と言ったとします。
もし、この子どもさんが相手の意図を汲み取るのが苦手な場合、ただお風呂を見て、その後でお母さんに「見てきたよー」と言って終わりになるかもしれません。
で、実際にお風呂が溢れて、お母さんから「お湯がいっぱいになりそうなら止めてよ!」と怒られる可能性があります。
ただ、この子どもさんは別に悪くはないんです。だって「見てきて」と言われたことをちゃんとやって、しかもそのことをお母さんにしっかり報告してくれています。
では、どうすればよかったか。
お風呂に湯張り機能をつけた方が良いのはごもっともですが、今回はそれ以外でいきましょう。
答えは“具体的に伝える”ということです。
この場合では、「お風呂がいっぱいになりそうならお湯を止めてきて」と伝えることです。
“お湯を止める”ということを言葉にする必要があるんですね。
ただ、この「いっぱいになりそうなら」というフレーズ。意図を汲み取るのが苦手な子どもさんにとっては結構抽象的な言われ方になります。
なので、お風呂に線など目印を付けておいて、「線の上まで溜まってるか見てきて」と伝えて、「せんのうえまでたまってるよ」 と言ってくれたら、「じゃあお湯を止めてきて」と伝えます。
伝える内容を2回に分けます。具体的に伝え、かつ分けて伝えることで、子どもさんにとって何をしたら良いかがわかりやすくなります。また、湯船に線をつけるなどの目で見てわかりやすい補助も加えます。
子どもも大人も具体的に言われた方が動きやすいですよね。
社会人になると、1のことを言われて、10のことを察して行動できるのがいわゆるエリートと言われると思います。
意図を察するのが苦手な場合、この察する量と質が下がります。
でも、1から10まで丁寧に伝えてもらうことで、ちゃんと行動に移すことができます。
それに、全く意図を察することができないわけではなく、経験を重ねることで1〜5で済むこともあります。
なので、それぞれの子どもさんに合った伝え方が大事となります。