日本語の話し言葉をひらがなやカタカナに置き換えるとします。
例えば、「くるま」という言葉をひらがなにすると、
"く る ま"となります。
カタカナでは、"ク ル マ"ですよね。
「く」という音は、"く"または"ク"
「る」という音は、"る"または"ル"
「ま」という音は、"ま"または"マ"
ではここで、話し言葉の音の数を数えてみましょう。
話し言葉の「くるま」の音の数は、
「く」「る」「ま」の3つです。
続いて、ひらがなとカタカナそれぞれの文字の数も数えてみましょう。
ひらがな"くるま"・・・3つ。
カタカナ"クルマ"・・・3つ。
なので、くるまという言葉は、音の数も文字(ひらがな・カタカナ)の数も同じであることがわかりますね。
この音の数と文字の数が一致しているのは、文字学習をする上でとても重要になってくるのです。
どういうことかというと、以前の記事で、文字学習をする上で音韻意識が大事になると言いましたよね。
音韻意識というのは、言葉の音について考えたり、扱ったりする力のことです。
「くるま」という言葉は、「く」と「る」と「ま」という3つの音でできているんだな、最初の音は「く」で、最後は「ま」だな、逆から言うと「まるく」だななどと、その言葉の“音”に意識を向ける力のことです。
そして、文字(ここでは主にひらがな)というのは、話し言葉を一つひとつの音に分解し、それらを記号で表したものです(一つひとつの音を一つひとつの文字という記号に表したものです)。
なので、音を文字で表すためには、話し言葉を一つひとつの音に分解する力が必要なのです。
それが、音韻意識が文字を読む力の土台と言われる理由です。
少し逸れましたが、再び音の数と文字の数の一致についての話に戻ります。
音の数と文字の数が一致していると、分解がしやすくなります。
例えば、「こっちに来て」の「きて」の音の数と文字の数について考えてみます。
「きて」
音の数 :2
文字の数:2
音の数と文字の数は、両方とも2です。なので、音の数と文字の数は一致しています。
続いて、今度は「きって」という言葉で考えてみます。
「きって」
音の数 :2
文字の数:3
音の数は2つ、文字の数は3つ。音の数と文字の数が一致しませんでした。
これは、声に出してみるとわかると思いますが、「きって」と声に出すと、聞こえてくる音は「き」と「て」の2つだけですよね。小さい「っ」は、声になりませんよね。
音楽の授業でリズムをとる時に、ウンタン ウンタン ウンタンタン(ウンが休符、タンで手を叩く)などとやったのではないかと思うのですが、「っ」は休符に当たります。
今度は文字にしてみます。
すると、 “き” “っ” “て” 文字は3つとなります。
この音と文字の数が一致しないのは頭の中で混乱しやすいです。
音はないのに、ない音(ここでは「っ」)を文字にしないといけないので、少し複雑になります。
難しいですね。
続きは次回以降で。