今回紹介する遊びは、丸いものをたくさん集めるゲームです。
ワー、パチパチパチパチ。
ルールは簡単。部屋中から丸いものをたくさん集める、ただそれだけです。
丸いものなら平面でも立体でも何でもオッケー!とにかく丸いものを集めてください。
丸いいものを集めるのと、ことばに何の関係があるの?という感じだと思いますが、結構(抽象的ですみません)関係しているのですよ。キーワードは“概念”です。
概念というのは、そのモノが何であるかを示すものです。意味の集合体と言いますか、意味のまとまりと言ったらいいでしょうか。りんごを例に挙げれば、りんごは、赤くて・丸くて・果物で・甘くて・かじるとちょっとかたいなどの特徴がありますよね。この特徴は、そのモノが持つ意味とも言い換えられるかと思います。
りんごというモノが示す意味には、赤い、丸い、果物、甘いなどがあり、それらをりんごの概念と言います。
話を戻します。
丸いものを見つけるというのは、部屋中に点在するモノが示す意味(概念)に目を向けることになるのです。
たとえば、部屋の中からボールとトマトを見つけたとします。これら2つのものは全く別のものです。片方はスポーツで使うもの、もう片方は野菜。ただ、共通点として“形が丸い”ということが挙げられます。
2つのモノは一見何も関係がないように見えて、実は共通の意味を持っているのです。ボールとトマトという2つのモノが“丸い”というキーワードを間に挟む形で、意味上の繋がりを持つようになります。すると、頭の中で、ボールとトマトという言葉(語彙)が意味的に結びつくようになります。そして、意味的に結びつく語彙が増えるというのは、一般的な言い方に置き換えると「語彙が増える」ということになるのです。
なので、一見言葉とは何も関係がない遊びですが、実は語彙を育む遊びになっているのです。
テーマは「丸いもの」でなくてもいいです。「赤いもの」「小さいもの」「くだもの」などなんだっていいです。「丸いもの」をした後に「くだもの」をしてみるのもおもしろいと思います。「丸いもの」として、りんごやトマトなどを選んだとして、その次に「果物」と言われたら、先ほどと違ってりんごは選べてもトマトは選べなくなります。これは、りんごとトマトという2つのモノが持つ意味の差異に気付くきっかけになり、そのモノが持つ意味や概念への理解が深まっていくことに繋がるでしょう。