「ラッパ」の「ラ」と、「カラス」の「ラ」は同じ音です。そうなんです。
そうなんですが、同じ音でも、その音が単語のどこにあるかで、発音のしやすさが異なると考えます。「ラ」という音は、舌の先の方で、歯茎の裏側あたりを弾くようにして出す発音です。
「ラッパ」は、「ラ」の位置が単語の最初にあります。「カラス」の「ラ」は、単語の真ん中にあります。どちらの「ラ」の方が言いやすいかというと、「ラッパ」の「ラ」の方が言いやすいと思われます。
なぜなら、「カラス」の方が、舌の動きが忙しいからです。
抽象的な言い方ですが、「カラス」と言う時、まず「カ」を言うために、舌の後ろあたりを上あごに当てて「カ」という音を出します。続いて、「ラ」を言うために今度は舌の先で歯茎の裏側を弾くようにして「ラ」という音を出します。最後に「ス」という音を出すために、舌の先を歯茎に近づけて(舌の先は歯茎にくっ付けない)、隙間をつくり、「ス」という音を出します。
このように、まず舌の後ろを動かす、次に舌の先を動かして「ラ」の音を出すといった具合で、舌の動きが忙しないんですよね。
一方、「ラッパ」の場合は、初めに「ラ」を言うので、「ラ」を発音する時点では、舌の動きはまだ忙しくないんです。
小さい子どもさんは、舌を動かす機能が未熟です。大きくなるにつれて、舌を器用に動かせるようになるのです。舌を動かす機能が未熟なうちは、口の中での舌の移動が多くなるほど、発音は不正確になりやすいと思われます。
なので、長い文章を話すよりは、短い文を話す方が正しく発音はしやすいです。また、短い文を話すよりは、単語を話す方が正しく発音しやすいです。そして、単語を話すよりは、ひとつの音の方が正しく発音しやすいです。